好発進PASMOの注意点 回数券を購入した場合よりもメリットがあるサービスはない
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新しいICカード乗車券「PASMO(パスモ)」とJR東日本の「Suica(スイカ)」の相互利用が開始された3月18日、ちょっとしたトラブルがあった。
利用者が定期券を、磁気カード式からICカード式に替えようとした際のことだ。東京メトロ有楽町線の豊洲駅と都営大江戸線の光が丘駅で、利用者が磁気定期券の残り期間などの情報を券売機でICカード乗車券に移し替えた際に、不正確な情報が記録された定期券が発行される不具合があり、パスモ参加事業者の各駅に設置されている同型の券売機400台以上が一時利用停止となったのだ。原因は不明。
利用停止した券売機は、チェック後に順次、稼働を再開した。
また、両カードの相互利用を記念して発行されたパスモとスイカのうち116枚にデータ登録ミスがあり、使用できない状態で販売されるというトラブルも起きた。
とはいえサービスの運用に影響を及ぼすほどの問題は今のところ起こっていない。パスモの広報を担当している東武鉄道、JR東日本ともに運用はスムーズだとしている。首都圏と近郊を包み込むIC乗車券利用網は、無事、発車したといえるだろう。
ただし、知らないと戸惑ったり小さなトラブルを起こしかねない運用上の注意点も抱えている。複数のIC乗車券をかざしたときや、磁気カードと併用するときに起こる問題などだ。そうしたトラブルを事前に防ぐため、パスモを利用する人は、改めてパスモについて確認しておいたほうがいいだろう。
記名式と無記名式がある
パスモはプリペイドタイプのICカード乗車券。あらかじめチャージ(入金)をしておけば、改札の読み取り機にカードをタッチするだけで改札を通過できる。運賃は降車駅で改札の読み取り機にタッチした際に自動的に精算される仕組みだ。
パスモを導入したのは、首都圏の私鉄各社、東京メトロ、東京都交通局など、54の事業者。導入予定も併せると参加事業者は101にのぼり、首都圏全域で共通乗車券として使用可能になる。カードの発行枚数は07年中に500万枚、09年度末までに800万枚を目指す。
首都圏の私鉄・地下鉄は、これまで磁気式のプリペイドカード「パスネット」を共通乗車券として提供してきた。パスモはこれに代わるプリペイドカードということになる。パスネットが廃止される予定は、現在のところない。
パスモ
パスモには、所有者の氏名・電話番号などの個人情報を記録する「記名式」と、個人情報を記録しない「無記名式」がある。
記名式は記名者本人のみが使用可能で、記名者が子どもの場合は小人料金が適用される。定期券としての情報を書き込めば、ICカード定期券にもなる。無記名式は誰でも使用できるが、常時大人料金で精算される。
定期券を使用しない人にとって記名式を持つメリットは、再発行制度にある。カードを紛失した場合、記名式ならカードの再発行が可能(手数料が必要)で、紛失したカードを利用停止した時点の金額が保障される。セキュリティ面の不安は、記名式を選択することで概ね解消されるだろう。
パスモは、導入事業者の駅やバス営業所、バス案内所において1000~1万円で購入できる。代金には500円のデポジット(預かり金)が含まれているので、購入金額から500円を差し引いた金額が、前払い運賃分ということになる。
前払い運賃がなくなった場合、券売機でチャージを行う。最大2万円のチャージが可能だ。
チャージ作業が不要になる「オートチャージ」も用意されている。残額が2000円以下になると、改札を通過する際に自動的に3000円分のチャージが行われる仕組み。入金額はクレジットカードで後日精算される。
オートチャージを利用するには、指定されたクレジットカードの入会と、オートチャージ対応のパスモを所定の手続きを経て入手する必要がある。
移動も買い物も1枚のカードで
先発のICカード乗車券には、既に1911万枚(2007年2月末現在)を発行しているJR東日本のスイカがある。
パスモとスイカは、パスモのサービス開始日である3月18日に「相互利用」を開始、どちらかのカードを持っていれば、交通機関の事業者を気にせずスムーズに乗降車できるようになった。
利用者にとっては、さまざまなメリットがある。まず、複数枚のプリペイドカードを財布に入れておき、使い分ける面倒がなくなる。乗り換えは格段にスムーズになる。また、普段は使用しない交通機関もプリペイドカードで利用できるというメリットもある。
便利になるのは交通機関だけではない。パスモとスイカには店舗や自動販売機で使用できる電子マネーとしての機能もあり、レジの読み取り機にタッチするだけで商品代金を支払える(ただし、電子マネー機能がないスイカも約380万枚発行されている)。
先行するスイカの対応店は“駅ナカ”のみならず、街中でもコンビニを中心に増加中。一方のパスモ対応店は700店、パスモで代金を支払える自動販売機は600台と小規模だが、電子マネーでもパスモとスイカは相互利用可能。スイカに対応する1万300店舗で、パスモによる代金の支払いが可能になる。
ICカード乗車券を利用する際の注意点
利用者にとってメリットの多いパスモとスイカの相互利用だが、注意点もある。
IC乗車券は財布や定期入れに入れたままでも利用できるが、その中にIC乗車券が複数枚入っているとエラーが発生して改札を通過できない。
スイカや電子マネー「Edy」の機能を備えるクレジットカードをIC乗車券と一緒に持っている場合にも同じ問題が起こる。エラーを避けるには、これらのカードを一緒に持たないようにするか、定期入れなどから都度、取り出して読み取り機にタッチするなどの方法が考えられる。
JRと私鉄の連絡改札口で磁気カードとIC乗車券を併用するケースがあるが、「磁気カードを改札口に挿入した後にIC乗車券を改札機にタッチする」というように、改札ごとに決められた読み取り順を守る必要がある。順番を間違えると、やはりエラーが発生して改札を通過できない。
また、ICカード乗車券を使って乗車すると、券売機で連絡切符を購入して乗車した場合と比べて運賃が高額になる区間が一部にあるので注意したい。
注:JR東日本のスイカに関するパンフレットを参考に作成
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JR総武線が、その一例だ。同路線は中野駅と西船橋駅で東京メトロ東西線と相互乗り入れしていて、この区間を挟む直通電車も運行されている。
例えばJR三鷹駅-JR津田沼駅間を移動する場合の運賃は、全区間JR線を利用すれば780円だが、途中で東西線を利用すれば590円ですみ、190円の差が生じる。しかし、スイカで入場してこの区間を移動すると、途中で東京メトロを利用した場合でも、出場時に前者の運賃780円が引かれてしまう。
このケースでは、相互利用開始に合わせて西船橋駅に連絡改札口が新たに設置され、改札通過時に利用路線を特定できるように対策が打たれた。ただし直通電車を利用すると、利用路線は特定されないため、利用区間にかかわらず全区間JR線を利用した場合の運賃で精算されることになる。
同じように、JR駅で乗車し、私鉄や地下鉄路線を経由して、JR駅で下車するいくつかの区間で、ICカード乗車券利用時と連絡切符購入時の運賃が異なることがある。
総武線のケース以外は、改札を経由する乗り換えでも、乗車券による運賃差が発生している。JR東日本によると、乗車券による相違があるのは、通常の切符とICカード乗車券で運賃を算出するシステムに違いがあるからだという。
該当する区間にIC乗車券で乗車すると、降車駅の窓口に申し出ても差額は返却されない。あらかじめ連絡切符を購入して入場するのが、高い運賃を払わない唯一の手段ということになる。ICカード乗車券で入場後に運賃が高くなることに気づいたときは、有人の改札に申し出て出場し、連絡切符を購入してから入場し直すしかない。
また、パスモで参加事業者のバスを利用するとIC乗車券にポイントが記録され、蓄積ポイント数に応じて「バスチケット」として還元される特典がある。ただし、ポイントは毎月末までの期限付きなので、すべてを有効利用できるとは限らない。余ったポイントが無効になることもあるわけだ。
その点、従来の「バス共通カード」では購入時に購入額に応じた特典が加算されたカードを入手できるので、特典を先払いで受け取ることになり、ポイントを失うことはない。特典を確実に受け取りたいならバス共通カードを選ぶべき、ということになる。
電車の場合、一部の鉄道事業者が乗車実績に応じたポイント還元サービスを開始するが、回数券を購入した場合よりもメリットがあるサービスはない。