少額決済サービスの利用率向上の鍵とは?
http://journal.mycom.co.jp/news/2007/03/07/013.html
現金に替わる少額決済の実現を目指し、さまざまな少額決済サービスが始まっているが、いまのところあまり普及は進んでいない。アビーム コンサルティングが、首都圏の女性を対象に、電子マネーや携帯電話に搭載されたクレジット機能を含む少額決済サービスについての意識調査を実施したところ、EdyやSuicaといった電子マネーの利用率は33%に留まっている。同社では、今回の調査結果から、普及促進を働きかける対象を明確化するとともに、付加価値サービスの充実化などがサービス拡大への鍵になるとしている。
調査対象は、首都圏の20歳~59歳の女性で、インターネットを通じたアンケートで、2006年11月中旬に行われた。
同社では、調査結果の分析にあたって、回答者を以下の3つの集団に分類した。
流行に敏感で消費意欲が高く、新しいものを積極的に取り入れようとする「消費生活謳歌派」、トレンドにはある程度注意を払うものの、消費活動において新しいものを取り入れることを嫌がる「倹約生活派」、消費意欲は高いが、流行を追うよりも生活必需品の購入が多い「堅実日常生活派」。
現在、電子マネーとして最も広く利用されているEdyとSuicaの利用状況は、全体では、Edy利用が12%、Suicaが16%、この両方を利用しているのが5%。利用率は合計で33%となり、どちらも利用していないのは67%との結果がでた。
しかし、「消費生活謳歌派」の利用率は42%に上っており、「倹約生活派」、「堅実日常生活派」がいずれも28%であるのに比べ、際立って高いことから、同社は「電子マネー陣営は『消費生活謳歌派』をターゲットとしたマーケティングを展開することが重要」としている。
首都圏の数多くの私鉄、地下鉄、バスで利用できるICカード型乗車券システム「PASMO」のサービスがこの3月から始まり、Suicaとの相互利用も実現する。モバイルSuicaを利用していない人々の、PASMOとの相互利用に伴うSuicaの利用意向をみると、「あくまでカード型Suicaを利用する」と答えた人が、3つの集団すべてで35%を超えたが、「これをきっかけにモバイルSuicaを利用したいと思う」との回答は、「消費生活謳歌派」でも26%、「倹約生活派」では13%だった。この結果から同社では「定期券/乗車券としての利便性向上がきっかけとなって、モバイルSuicaへの乗り換えが進むとは考えにくく、カード型Suica利用者のモバイルへの乗り換えを促すためには、少額決済サービスとしてのSuicaのイメージを変えるようなプロモーションが必要」と提言する。
少額決済サービスへの付加を希望するサービスとして、最も多かったのは「自分(特定の人)以外の利用制限」で54%、次いで「現金に戻すことができる」が49%、3番目は「ポイントサービスとの相互移行」の46%だった。
現在、ポイント/マイレージは、電子マネーは相互交換、融合化を進展させており、日本航空(JAL)、ヤフー、アマゾン、ビックカメラ、Suicaの流れと、全日本空輸(ANA)、楽天、ティーポイント、マツモトキヨシ、Edyの2大潮流がある。
同社はこれらのような「ポイント通貨圏」を洗練していくことが「少額決済サービスにおける成功の鍵」と位置づけており、「今後は少額決済サービス事業者自ら、ポイント通貨圏の構想策定や提携推進に積極的に関与することが必要」とする。ポイント/マイレージは流通業の集客力拡大、航空会社の顧客囲い込みなど、さまざまな産業分野で、別々の目的をもって登場してきたわけだが、これらが電子マネーと結びつき、いわば「相互乗り入れ」ができるようになることで、いまや、もうひとつの通貨のような属性をもつに至っており重要度が高くなってきている。少額決済サービス事業者はポイント/マイレージ運営者との連携、仕様の標準化、利便性向上への取り組みとともに、法制度の整備なども視野に、それぞれの思惑を超えた発想をも求められることになるだろう。