PASMO、Suica、防犯ゲート……電磁波は体に大丈夫?
3月18日から東京では、私鉄や地下鉄、路線バスに共通で使えるカード「PASMO」のサービスがはじまった。
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000006435
JR東日本のSuicaと同じく、ICカードを使った乗車券システムだ。SuicaとPASMOは相互利用できる。
仕組みとしては、改札のカードの読み取り部から電磁波を発生させ、乗客がカードをかざす1秒ほどの間に、運賃精算などの情報をやり取りするというものだ。
使用している電磁波は、AMラジオ放送より少し高い周波数(13.56メガヘルツ)だ。ためしにAMラジオを近づけてみると、読み取り部付近では強いノイズがでる。
電磁波の強さは、発生源(放送局の場合であれば発信アンテナなど)の近くが一番強く、距離が離れるに従って弱くなる。放送局のアンテナの周辺には、人が立ち入らないように柵がめぐらされている。これは電波法で人体防護のための基準が定められており、電磁波の強さが基準値以上の場所には、人が立ち入れない措置をとるように決められているからだ。
JR東日本中央線の梁川駅(無人駅)のSuica改札での電磁波を測定した。計器の値は、基準値の5倍超を示した。
JR東日本中央線の梁川駅(無人駅)のSuica改札での電磁波を測定した。計器の値は、基準値の5倍超を示した。
撮影者:植田武智
一方、PASMOやSuicaの手をかざす改札の読み取り部も、出力は弱いが電磁波の発生源であることに変わりはない。発生源近辺の電磁波の強さは、かなり強い。
実際にどのくらい強い電磁波が出ているのか?JR東日本Suicaの改札のカード読み取り部を測定してみた。すると、読み取り部での値は0.87A/m(メートル当たりアンペア)。防護基準(0.16A/m)の5倍超の値だった。
電磁波の安全基準としては、国内の防護基準のほかにも、より厳しい国際的なガイドラインも存在する。国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)という機関が定めるガイドラインだ。この国際的なガイドラインでの基準値は(0.073A/m)。これと比べると、Suicaの改札部はなんと12倍の強さである。
【参考:ICNIRPガイドライン日本語訳28ページ表7】
基準値を超えているのは、読み取り部からわずか数センチの範囲であって、改札全体が強い電磁波で覆われているわけではない。しかしその基準値を超えている部分に手をかざさないと改札を通れないという点が気がかりだ。
これまでの磁気式のカードや切符の場合は、改札機の機械内部に取り込んでから磁気データを処理していたので、乗客が体の一部とはいえこのような強い電磁波にさらされるということはなかった。
世界中の疫学調査では、小児白血病は、送電線からの電磁波がガイドライン値の250分の1であっても、発症リスクがあると確認されている。それを考慮すると、SuicaやPASMOの電磁波は無視できない。
■盗難防止ゲートでは鍋が過熱するほどの電磁波が
PASMOやSuicaよりももっと強い電磁波を広範囲に発している装置がある。図書館やスーパーマーケットの入り口に設置してある盗難防止ゲートだ。
盗難防止ゲートには、いくつかの種類があるが、14キロヘルツの周波数を使った住友3MのM-3810というゲートの磁場を測定したところ、ゲートの周り1.5メートル周辺は国際ガイドライン値を超える値だった。
ゲートから数センチの短距離では、かなり甘い日本の基準値をも超えている。ということは、電波法に厳密に従えば、ゲート自体を柵で囲んで、人が近づけないような措置をとらなければならない。
SuicaやPASMOより厄介なのは、体の全身が強い電磁波にさらされるということだ。
また、14キロヘルツという周波数は、じつはIH調理器に使われる電磁波に近い。試しに、ゲートに鍋をのせてみると、ものの数分で鍋の取っ手は84度(セ氏)にまで上昇、素手で持てなくなった。
■アメリカではペースメーカー使用者が失神
このような強い電磁波による影響で最もはっきりしているのが、心臓ペースメーカーや徐細動器などに対する影響だ。米国では2006年6月、ペースメーカー使用者が失神する事故が起きていたという論文が発表された。
論文によれば、被害者は2002年からペースメーカーを装着していた76歳の女性。
2006年4月に、大規模なショッピングセンターで買い物をして、その荷物を店員と一緒に車に積み込むために移動中、出口の盗難防止ゲートのところで立ち止まってしまった。突然、彼女は助けを求めて叫び、気を失って倒れてしまった。
仰向けの状態で彼女は意識を取り戻したが、店員は良かれと思って、彼女の上半身を起こして、ゲートにもたれかけさせた。すると患者は再度意識を失い、倒れた。それが5回も繰り返されてしまったというのだ。
その後、近くの救急病院へ送られ、検査を受けた。心電図の記録をみると、盗難防止ゲートからの高周波ノイズを受けている間、ペースメーカーの心拍のリズムが乱れ、心停止状態になっていたことが分かった。
気を失ってしまうほどのショックを受けることは、日本でもアメリカでもめったにないことだろう。しかし、めったに起きないことであればこそ、予防法や、起きた場合の対処法がおざなりになることが懸念される。
(MyNewsJapanの記事全文の要約です。オリジナルはこちらです)
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