「PASMO(パスモ)」 10日に販売再開
新サービスで巻き返し
子ども通過メール ロッカーの鍵に
http://www.yomiuri.co.jp/tabi/news/20070908tb02.htm?from=os1
予想以上の売れ行きで販売を見合わせていた首都圏の鉄道、バス共通ICカード乗車券「PASMO(パスモ)」が9月10日に販売再開される。
約5か月ぶりに「十分な在庫」を抱えての再出発。私鉄各社はパスモに新たなサービスを乗せて、普及を加速させる計画だ。(佐藤千尋)
◇人気殺到
パスモのサービス開始は3月18日。今年の販売目標は500万枚だったところ、発売3週間で300万枚も売れた。カード発行会社「パスモ」(東京都新宿区)は大急ぎで追加の製造注文をしたものの、当初用意した約400万枚の在庫が底をつきそうになり、4月12日に定期券以外のカードの新規販売を中止した。
JR東日本の「Suica(スイカ)」は私鉄での利用も可能になったのに、スイカを持っていながらパスモを買う人が多かった。パスモの調査では、パスモ所有者の約6割がスイカも持っていた。そのうち半数は、どちらか一方しか使っていないと回答している。
パスモの早川弘之事業部長は「スイカを持っている人が、こんなに買ったことは想定外」と振り返る。さらに、首都圏以外の人が「デザインがかわいい、と東京みやげに買っていく例が多かった」(私鉄大手)ことも誤算だった。
販売再開は恐る恐るだ。購入者が殺到しないよう、再開日は夏休み明けから間をおいた9月10日。一部の私鉄は販売する駅を限定し、様子を見ながら徐々に本格販売へ移行することにしている。
◇クレジットカード
私鉄各社は「パスモを買わなくても電車に乗ってもらった」と乗客数に変化がないことを強調する。しかし、パスモの特徴の一つは、別にクレジットカード契約をすれば、カード決済で電子マネーを自動入金できることだ。パスモの販売停止で、提携先のクレジットカード会員を増やそうとの戦略はつまずいた。
みずほ証券の高橋光佳シニアクレジットアナリストは、販売中止の影響について「関連の小売店での買い物が増えることで得られたはずの売り上げや、手数料収入などが失われた。逸失利益は1社当たり数億円、業界全体では数十億円にのぼる」と分析している。
一方、私鉄でも使えるようになったスイカは、パスモの販売中止以降、新たに約200万枚が売れた。8月末時点の発行枚数は約2200万枚と、パスモの452万枚を大きく引き離している。
◇利用拡大へ
パスモ陣営は、販売再開を機にサービス拡充を進める。東京急行電鉄は12月から、子どもがパスモを使って改札を通ると、保護者の携帯電話にメールで知らせるサービス「キッズセキュリティ・駅」を始める。
08年からは、コンビニエンスストア「エーエム・ピーエム(am/pm)」の関東約1000店でパスモが使えるようになる。
東武鉄道は今年5月以降、パスモがカギ代わりとなり、料金もパスモで払えるコインロッカーを5駅に設置した。同鉄道は、関連会社が発行する「東武カード」の会員をパスモ関連分だけで年間6万人増やす計画だった。販売中止前にすでに4万人を獲得し目標は達成されそうだが、「販売中止がなければさらに増やせた」(同社)と意欲的だ。
パスモは非接触型カードのため、従来の磁気カード「パスネット」より機器の補修費が少なくて済む。所有者の個人データが入った記名式パスモなら、改札を通過した人の年齢や性別などが分かり、運行計画などに反映しやすくなる。私鉄各社は、カードの付帯サービスを増やして、沿線住民の利用を拡大する考えだ。
(2007年9月8日 読売新聞)