Edyは日本の小額決済インフラになれる(Edyプラスワンの発想)
2007年は各社の電子マネーに大きな動きがあった年でした。2008年ももう半分過ぎようとしており、各社の今後の動向も気になるので、あえて考えて見ました。
http://japan.cnet.com/blog/uchiyama/2008/05/26/entry_27001795/
発行枚数・加盟店数はEDY、利用件数はダントツでnanaco
Business Media誠の記事によると、 2008年3月時点で、発行枚数1番はEDY 3880万枚、利用可能店舗(加盟店)1番はEDY 74000店、月間利用件数はnanaco 2900万件でした。EDYの発行枚数・加盟店1番はこれまでの経緯から納得できますが、nanacoの利用件数はダントツで、非常に驚きです。
1枚あたりの利用件数に計算しなおすと、EDYが0.6件/枚・月、Suica/ICOCA/PASMOが0.75件/枚・月に対し、nanacoは5.15件/枚・月と、圧倒的な利用件数を誇っています。nanacoはnanacoポイントという非常に分かりやすいインセンティブがあることと、コンビニでの小額決済需要をうまく取り込んだ画期的な成功事例でしょう。
Edyはこのままで大丈夫?最近、Edyに元気がありません。2000年頃に電子マネーの仕事をしていた私としては、老舗であるEdyにもっとがんばってもらいたいなといつも思っています。しかし、各種メディアではSuica/PASMO/ICOCA、またはnanacoが電子マネーを制するのでは、という論調が多いですね。確かに新しく打ち出すサービス内容や実利を考えると、今はSuica、nanacoの方に勢いがあります。
Edyはこのままで大丈夫でしょうか。Edyにがんばってもらいたいので、敢えて強みを考えてみました。
「全国」で使える (北海道から沖縄まで広くカバー)
発行枚数・加盟店数が最も多い
プリペイド式なので幅広い年齢層で使える(ポストペイは便利だが与信が必要)
認知度は最も高い
社員証等、決済プラス決済以外用途も幅広く対応できる
一方、弱みも合わせて考えました。
Edyを使った際にポイントがたまる等のインセンティブが弱い(一部あるが訴求できていない)
加盟店は多いとはいってもクレジットカードほどの普及には程遠い
プリペイドなので補充するのが面倒(補充場所はコンビニ等があるが人手を介すので面倒)
Edyは日本の小額決済インフラになれる
(Edyプラスワンの発想)参考までにクレジットカードの業界を考えて見ます。
クレジットカード会社は大きく分けると2種類あります。1つはイシュアーと呼ばれるクレジットカード発行会社(三井住友VISA、 セゾンカード、OMCカードなど)で、広くクレジットカードを発行して使ってもらうと決済手数料をもらえるという会社。もう1つはアクワイアーと呼ばれる加盟店・インフラ会社で、加盟店を広く獲得してインフラを提供することで決済手数料の一部をもらうという会社で、VISA・Master・JCB等があります。(なお、日本のクレジットカード会社はイシュアーとアクワイアーの両方をやっている場合がほとんどですが、例に挙げた会社はどちらの業務がより強いかで挙げています。)
私は電子マネーでも同じ流れが発生するのではないかと考えています。例えば、nanacoやSuica等、自社に確実な顧客基盤があり、自社顧客内で発行枚数と利用率を高められるような電子マネーはイシュアー型。逆に既に幅広い加盟店網を持っており、業界標準になりうる方式を持っているような電子マネーはアクワイアー型。
敢えて図にすると下記のような感じでしょうか。
もしこのように分かれると、1枚の電子マネーカードに2つの電子マネーが乗るようになります。例えばnanacoとEdyが同時に乗っているカード等です。すると、普段はセブンイレブンでnanacoを使うのですが、別にEdyが使える場所で決済するときは、nanacoの残高を使えるようになるかもしれません。 つまり、「Edyプラスワン」の発想です。 プリカ法や会社の戦略上、いろいろなことはあるかもしれませんが、ユーザーメリットとしては非常に高いと思います。
もしこのような状態が実現すると、VISA/Master/JCBがクレジットカードの標準であるように、Edyが小額決済の標準になれる可能性があります。そのためには加盟店端末やインフラの構築等、たくさん課題はあり、すぐに実現はできませんが、面白い取り組みにはなりそうです。