得するカード&電子マネー活用法
中高額決済はクレジットカードで、小額決済は電子マネーで。そんな使い分けが利用者の間で浸透しつつある現在、「クレジットカードと電子カードの機能はシームレス化し、より利便性が高まっています」と、カード業界に精通する岩田昭男さんは指摘します。後編では、今後重要性が高まる「個人の信用力」としてクレジットカードをもつことの意味と、利用シーンが急速に広がっている電子マネーの賢い活用法をお聞きしました。
http://doraku.asahi.com/money/chie/080811.html?ref=comtop
プレミアムカードを持つのは見栄(みえ)のため?
岩田昭男さん今回はゴールドカードやプラチナカードなど、いわゆるプレミアムカードを持つ意味についてからお話しします。各社から発行されているゴールドカードの年会費は1万円強。プレミアムカードの双璧(そうへき)とされるアメリカンエクスプレスのセンチュリオン・カードやダイナースクラブのプレミアムカードに至っては、年会費がそれぞれ367,500円と105,000円(どちらもカード会社の招待制)です。サービスが年会費に見合うか否かは年間の利用額やライフスタイルよって評価が分かれますが、実は信用不安が世界で高まるなかで、「どんなカードを、どのように使っているか」が実生活にも影響する時代が到来しつつあります。
日本では、お金まわりの個人の信用情報は銀行、クレジットカード、消費者金融など、業態別に複数の信用情報会社が管理しています。しかし来年9月からは信用情報が一本化される予定で、そうしますとコンスタントに高額な利用がある人と、返済遅延など履歴の悪い人が明確に峻別(しゅんべつ)されるようになります。すでにアメリカではこれらを総合評価した「クレジットスコア」が個人に与えられ、この点数が銀行の貯金金利や住宅ローン金利はおろか、就職や転職にも影響するといった、カードによる格差の固定化が進んでいます。
将来、日本もそれに近い状況になるとすれば、履歴のよい人にしか発行されないプレミアムカードを持つことは、見栄のためではなく、生活に直結した信用力の確保になります。「だとしても、自分は普通のカードで十分」という方も、必ず返済期日を守り、与信枠を圧迫する不必要なカードを持たず、もし履歴のよくないカードがある場合は現役のうちに別のカードに変更するなどして、信用力をアップさせることを意識してください。
小銭入らずで中高年にやさしい電子マネー
クレジットカードや電子マネーは「電子決済を行うもの」ですが、クレジットカードではお金そのものではなく、お金の取引情報がやりとりされます。一方、電子マネーは「デジタルデータにお金のバリュー(価値)を持たせた」もの。つまり金銭的な価値そのものが電子データとしてやりとりされているわけです。「駅ナカ」以外にも使える場所が増えているJR東日本のSuicaや、関東圏の私鉄・バス・JR東日本で使えるPASMO、JR西日本のICOCAなどの交通系の電子マネーを利用されている方は、理屈より感覚として、その利便性を感じていらっしゃるはずです。これら日本で広く普及している電子マネーの多くは、ICチップにバリューを入れ込んだICカード型です。
電子マネーの最大のメリットは、小銭をもたなくてよく、支払いが短時間で済むことです。年をとると小銭の出し入れというのはわずらわしくなるもので、おつりをもらう手間がいらない電子マネーは、意外と中高年にやさしいツールなのです。また第二のメリットとして、たまったポイントを使えたり、割引やクーポンをもらえたりすることがあります。特にポイントに関しては、クレジットカードと電子マネーのすみ分けが進む中で、かつてはライバル関係にあったクレジット会社と電子マネーの連係が強まり、より効率よくたまるようになりました。
使うシーンもカードとのすみ分けが進む電子マネー
電子マネーの中でも、買い物電子マネーの草分けとして全国約7万店舗という国内最大規模で展開されているのが「Edy」です。Edyといえば、全日本空輸(以下ANA)のマイレージがたまりやすいことがいわゆる「陸マイラー」たちに人気でしたが、最近では航空業界全体の方針変更もあり、制度改正によって以前ほどの魅力はなくなっています(ただしライフカードのように、高いポイント付与率を維持するカードもあります)。
それを補って余りあるのが、この夏、ANA(マイレージクラブ)に加え、楽天(楽天ポイント)、千趣会(ベルメゾン・ポイント)の3社と提携し、さらに8月から秋にかけて、KDDI (auポイント)、ヤマダ電機(ヤマダポイント)、Tカード&マーケティング(Tポイント)とも提携が決まっていることです。これはEdyを利用してたまったポイントを、上記6社のうち自分がためたいポイントにシームレスに移行できるということです。
そのほかEdyには、「Edyスマイルクーポン」というキャッシュバック・システムがあります。これは事前に登録しておけば、提携するレストランや宿泊設備、アミューズメント施設などで使った金額の最大20%がキャッシュバックされるというものです。
Nanacoカードは1%ポイント還元
コンビニやスーパーが発行している専門系の電子マネーは、毎日の買い物で使うものだけに、一度の利用額は少なくてもポイントを効率よくためられます。特に私の注目は、セブン&アイホールディングスが発行する「nanacoカード」。300円の発行手数料で、利用額100円につき1円が電子マネーとして還元されます。銀行に預けても1%の利子をもらうのはなかなか大変な時代、これは見逃せません。nanacoカードはイトーヨーカドーでも使えますから、主婦が毎日のお買い物に使えば5万円ぐらいは比較的すぐ使うのではないでしょうか。たまった500円分のポイントで、お昼のお弁当をセブンイレブンで買えば、得した感はかなりあると思います。
また、イオングループの「WAON」は、ジャスコやマックスバリュなどで使える電子マネーです。こちらのポイント還元率は0.5%ですが、JALのマイルがたまるサービスがあるのが旅行ファンには注目。今後もイオングループ外との連携が期待されます。
「おサイフケータイ」の名称で知られている携帯電話を使った小額クレジットも、電子マネーの仲間です。おサイフケータイを利用するにはiDというサービスを決済できるクレジットカードが必要で、カード自身にもiD機能を付けることができます。クレジットカードのポイントをためたいと思っていても、小額の買い物でカードを出すのは気がひけるという方もいます。サイン不要のiDならちょっとした買い物でもカードやケータイが出しやすく、ポイントはクレジットカードと一元的にたまります。iDはタクシーやコンビニなど、利用できる店舗が急激に拡大しているサービスです。
紛失が心配なら記名式カードを
電子マネーの多くは、事前にカードにお金をチャージして使うプリペイド方式が採用されています。もし電子マネーをなくしても、基本的にはその中のお金は補償されません。ただし、購入の際に氏名、性別、生年月日などの個人情報を登録することで、もしカードを紛失したり盗難にあったりした場合に、チャージ残高が補償される「記名式カード」を提供している電子マネーもあります。(補償額は事業者への連絡と、利用停止手続きが完了した段階でのチャージ残高が一般的)。
例えばSuicaにはカード「My Suica(スイカ)」という記名式カードがあり、1枚2,000円(預かり金500円を含む)という金額も通常のカードと同様。エリア内にあるJR東日本の駅のカード発売機や券売機、みどりの窓口などで購入できます。nanacoやWAONにも記名式カードはありますから、「なくすのが心配」という方は手続きをされるといいでしょう。
岩田昭男 (いわた・あきお)
1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。月刊誌記者を経て現在、クレジットカード、ソフトウエア、インターネット等に強いジャーナリストとして活躍中。著書に「電子マネー最終戦争」(洋泉社)その他
(更新日:2008年08月11日)