最近、SuicaやPASMOで改札を通ると、エラーになりませんか?
「いつも通りPASMOを改札にかざしているのに、最近エラーが出て通れないことがあるんだよな……」こんな悩みがある人はパスケースを確認してみてほしい。そこにICカード免許証が入っていないだろうか?
2009年01月13日 11時51分 更新
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0901/13/news051.html
“かざすだけ”で改札を通れるIC乗車券。各鉄道会社も熱心に磁気きっぷ/定期券からの移行を勧めていることもあり、毎日の通勤にSuicaやPASMOを使っているという人は多いのではないだろうか。
磁気きっぷ/定期券を通すよりも、IC乗車券をタッチして通る方がスピードが速い。普段はいいのだが、その分怖いのが読み取りエラーだ。エラーを起こした1人が少し改札口で止まっただけで、あっという間にその後ろに人がたまってしまう。特に混んでいるときほど、後ろの人たちへの申し訳なさ、いたたまれなさは大きい。
さて、ここで質問。「以前は問題なく通れたのに、最近急に、SuicaやPASMOをかざすとエラーが出るようになったんだよな……」と思ったことはないだろうか。もし心当たりがあったら、SuicaやPASMOを入れている財布やパスケースを開けてみてほしい。そこに、ICカード免許証が入っていないだろうか?
ICカード免許証とは?
ICカード免許証(上、厚さ0.76ミリメートル)と従来の運転免許証(下、厚さ0.5ミリメートル)を重ねてみた。厚さの違いが分かるだろうか 警視庁では2007年1月から、運転免許証のICカード免許証化を進めている。目的は、免許証の偽造を防ぐためだ。
従来の免許証とICカード免許証は、サイズは同じだが厚みが異なる(右写真)。ICカード免許証の中にはICチップとアンテナが入っており、このICチップに個人情報が書き込まれている。例えば従来の免許証では表面に本籍の記載があったが、ICカード免許証ではプライバシー保護のため、本籍欄が空欄になっている。こういった情報がICチップの中に書き込まれているのだ。
ICチップ内のデータを読み出すには、4ケタの暗証番号が2組必要になる。余談だが、暗証番号を続けて3回間違えると読み取りができなくなってしまう。運転免許試験場や免許センター、各警察署に行かないと復旧できないので、必ず覚えられる番号にしておくことをオススメする。
ICカード免許証への切り替え時期は、都道府県によって異なる。東京、埼玉、茨城、兵庫、島根では2007年1月4日、千葉、岡山、香川、長崎、熊本では2008年1月4日発行分からICカード免許証へ切り替わっている。2009年1月4日からは28道府県で切り替えが始まり、2009年度中にはほとんどの都道府県でICカード免許証が導入される予定だ。
ICカード免許証(上)と従来の免許証(下)。サイズは同じだが、ICチップを内蔵し、本籍地が表面に記載されなくなったなどの違いがある
改札エラー、料金二重徴収が起こる理由
本題に戻ろう。SuicaやPASMO、ICOCAといったIC乗車券を複数枚同じ定期入れに入れたり、ICカード免許証とIC乗車券を重ねた状態で自動改札にかざすと、読み取りエラーが起きて改札を通れなくなることがある。
また、PASMOやnimocaを導入しているバスでは、読み取りエラーが起きた結果、運転手が誤って取り消し操作を行うなどの理由で二重に運賃を引いてしまう事故が起きている(参照リンク、PDF)。
SuicaやPASMOなどのIC乗車券には「FeliCa」、ICカード免許証には「Type B」というICチップが入っている。異なるチップを使ったカードなのに、なぜ一緒に使うとエラーが起きてしまうのだろうか。
FeliCaとType Bはいずれも近接型非接触ICチップの一種だ。近接型非接触ICチップとは、“リーダー/ライターに近づけると(通信距離10センチメートル以内を想定)、ぴったり接触させなくてもデータを読み書きできるICチップ”という意味。FeliCaもType Bも、カードの中を開けるとICチップの回りにアンテナが張ってある。リーダー/ライターが発している電波を、このアンテナを使ってキャッチし、リーダー/ライターとICチップが通信を行う(=データの読み書きをする)のだ。
※リーダー/ライターと非接触ICチップがどのように通信しているか、さらに詳しくは別記事を参照してほしい。
FeliCaとType Bは異なる規格だが、いずれも13.56MHz帯の周波数帯で通信を行っている。そのため、自動改札などFeliCa用リーダー/ライターに、FeliCaカード(IC乗車券など)とType Bのカード(ICカード免許証など)を一緒に近づけると、リーダー/ライターの発する電波を複数のカードが奪い合うことになる。するとIC乗車券に必要な電力を供給できなくなり、カードを正しく判別できない、正常な通信が行われないなどのエラーが起きてしまうのだ。
SuicaやPASMOなどのFeliCaカードとIC免許証を重ねて改札を通ろうとするとエラーが起き、カードを正しく判別できなくなる状態を再現。パスケースを開いてICカード免許証を離すと、パスケース内のPASMOを正しく判別できるようになる
さまざまな非接触ICカード
チップ名 カード(サービス)名
FeliCa Suica、Edy、PASMO、nanaco、WAON、iD、QUICPay、VISATOUCH(スマートプラス)、モバイルFeliCa(おサイフケータイ)、香港オクトパス など
TypeB ICカード免許証、住基カード など
Mifare(マイフェア) taspo など
エラーを避けるための対処法は?
IC乗車券、電子マネー、会員証、クレジットカードなど、FeliCaカードの種類が増えた結果、財布の中が非接触ICカードだらけという人が増えている 右の写真は、ある人の財布の中にあった非接触ICカードを並べたものだ。ICカード免許証(Type B)、taspo(Mifare)、SuicaやPASMOなどの交通IC乗車券(FeliCa)だけでなく、電子マネーのnanaco/WAON、Suicaが載っているクレジットカード、ANAのマイレージカード、JR東海のEX-ICカードなどさまざまな種類のFeliCaカードが入っている。たとえ財布にICカード免許証が入っていなくても、FeliCaカードが複数枚入っていれば、前ページで説明したエラーと同じことは起こりうる。
複数の非接触ICカードを持っている場合、エラーを避けるにはどうしたらいいか? 方法は大きく分けて2つだ。1つは“ICカード免許証とIC乗車券を一緒に持たない(使わない)”、そしてもう1つは“ICカード対応の財布やパスケースを利用”すればいい。
ICカード免許証とIC乗車券を一緒に使わない
ICカード免許証や電子マネー、クレジットカードはたいてい、財布やパスケースから抜き出して単体で使う。エラーが起きて困るのは、SuicaやPASMOといったIC交通乗車券のはず。IC交通乗車券とそれ以外のICカードを分けて持つか、面倒でも改札を通るときにIC交通乗車券を抜き出して使うようにすれば確実だ。二つ折りの財布やパスケースであれば、IC交通乗車券とそれ以外のカードを左右に分けておき、開いてIC交通乗車券側だけをタッチするようにするだけでもエラーを防げる。
あるいはモバイルSuicaなど、おサイフケータイ(モバイルFeliCa)で利用できるものはそのサービスを使うのもいい。おサイフケータイでは1つのICチップで複数のサービスに対応できるようになっているので、カードを重ねたときのようなエラーが起こることはない。
ICカード対応の財布を使う
もう1つの対処法は、ICカード対応の財布やパスケースを使うこと。例えばシェリーの「アイクレバー」シリーズは、特定のICカードだけを読み取らせ、ほかのICカードはリーダー/ライターにかざしても反応させないようにできる製品だ。
同様の機能を持つ製品は、ほかにも複数社から販売されている。例えばコムサ・デ・モード、アニエス・ベー、アナ・スイといったブランドでもパスケースや財布のラインアップの一部をIC乗車券対応としている。
シェリー「アイクレバー」シリーズは、ICカードの使い分け機能が特徴。長財布と二つ折り財布(左)、パスケース(右)など種類はいろいろ
特定のポケットに入れたICカードだけを読み取らせることができる。右の写真の状態にして自動改札にかざすと、PASMOだけが反応し、ほかのポケットに入れたSuicaやnanacoは反応しない
手持ちの財布やパスケースをそのまま使いたいという場合は、非接触IC対応のスキミング防止カードを使うという手もある。自動改札で反応させたくないカードにスキミング防止カードを密着させて入れておくと、スキミング防止カードがリーダー/ライターからの電波を遮断するため、自動改札にかざしても反応しなくなる。ただしこの場合、使いたいICカードと自動改札の間にスキミング防止カードが挟まると読み取りを阻止してしまうので、向きに気を付けて利用したい。