「タスポ景気」に浮かれてはいられない? コンビニ各社が模索する新サービスの期待度
千葉県市川市、本八幡駅近くのam/pm。中に入ると普通のコンビニとは様子がまったく違う。通常なら雑誌棚があるスペースに、背丈ほどの本棚がなんと8つも。そこに収まっているのは「20世紀少年」「ワンピース」「ナルト」……みな人気漫画の単行本だ。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20090202/1023284/
千葉県市川市、am/pmのコミックレンタル(画像クリックで拡大)
am/pmの電子マネー専用のセルフレジ(画像クリックで拡大)
大手コンビニ、am/pmが市川南八幡4丁目店で今年1月から3月末まで試験的に行っているコミックレンタル。3000冊をラインナップし、1冊の貸出料金は当日80円、3泊4日なら100円。平日の昼間ということもあり客はさほどいなかったが、赤ん坊を抱いた主婦などが立ち止まっては棚を物色していた。
タスポ(たばこ自販機用の成人識別カード)の導入で、たばこ目的の来店客が増えたコンビニ業界は、昨年、この不況下にあって好業績を上げた。ホクホク顔かと思いきや、必ずしもそうではないようだ。「この1年を除くとコンビニの既存店売上は8年連続で前年割れしています。従来の店舗フォーマットだけで成長を続けるのは難しいのが現状。お客様のニーズに応える新しい商品・サービスの開発が欠かせません」(エーエム・ピーエム・ジャパン広報担当)。コミックレンタルもそんな「新時代への模索」の一環ということらしい。同社はほかにも、3月末から電子マネー専用のセルフレジ(「PASMO」「Edy」の両方、あるいはどちらかに対応)導入店舗を拡大するなど、サービス強化を急いでいる。
店頭情報端末で売る新商品とは?
新サービスを巡る積極姿勢はほかのコンビニも同様だ。ファミリーマートは昨年11月、店頭端末「Famiポート」のサービスメニューに「学び・教育」を新たに追加。店頭で各種検定試験の申し込みができるようにした。さらに今年1月からは、大学・短大・大学院出願受付サービスを開始。今のところ前者は日本漢字能力検定、日本語文章能力検定の2つ、後者は桜美林大学大学院入試のみだが、ともに申し込み対象を続々と拡大していくという。「Famiポート」では従来からレジャー施設などのチケット発券も行っていたが、昨秋、一部で導入した「0円クーポン」にも注目したい。JTBグループとの提携により実現したこのクーポンは、レジャー施設入場券のもぎり部分に、施設近隣の土産物店・レストランなどの割引特典を無料で提供するもの、いわば入場券のオマケだ。現在、JTBグループで実施の「日本の旬 東北」キャンペーンに連動した商品を展開中だ。また、昨年春からは刺身など海産物の本格販売も開始。アグレッシブな取り組みが目を引く。
Famiポートで大学出願サービスもできるように(画像クリックで拡大)
ファミリーマートは刺身の販売も開始(画像クリックで拡大)
ネットとリアル店舗の連携で生み出す新市場
一方、インターネットとリアル店舗のシナジー強化を図っているのはセブン-イレブン。昨年7月、それまで同社が運営していたショッピングサイト「セブンドリーム・ドットコム」、そして「お取り寄せ便」を集約・拡充した新サイト「セブン-イレブンネット」を始動させた。特徴的なのは約3000アイテムの酒類を取り扱うことからも伺える、専門性・希少性に目配りした品ぞろえ。店舗面積が狭いため取り扱い商品が限定されるコンビニの弱点を、ネットというバーチャル空間を活用することで逆手に取ろうという戦略だ。注文した商品は原則4日後に届く。指定の店舗で受け取れば送料、手数料はかからない。
セブン-イレブンネットでは、全国各地で飲まれている酒などを用意する(画像クリックで拡大)
ローソンは未発表ながら、2010年、店頭端末「Loppi」のサービス拡充を予定している。「自宅にパソコンがあっても、インターネットを介したサービスに心理的な抵抗を感じる方は多いはず。特にシニア層の心情やニーズを意識してサービスの充実を図る必要があるかと思います」(ローソン広報担当)
同社の独自性としては、環境問題への熱心なアプローチも特筆したい。昨春には、ローソンの会員カード「ローソンパス」や「マイローソンポイント」のポイントでCO2削減に貢献できる「CO2オフセット運動」をスタート。途上国などで実現したCO2排出削減量(排出権)を取得し、自分のCO2排出量を埋め合わせる(オフセットする)手段を個人に提供したことで話題を呼んだ。
文字通り「コンビニエンス(便利)ストア」。ただモノを売っているだけではないコンビニは、とっくに便利過ぎるくらい便利なのに、なおサービスの進化をどん欲に追求している。そんなに頑張らなくていいよと言いたいところだが、頑張らねば厳しい生存競争を勝ち残れない現実がある。コンビニ各社の健闘を見守りたい。